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ひ っ そ り と

小説 広島発千夜一夜

小説
広島発千夜一夜
第七話
心中



自分の命を自ら亡くす行為。それは己の思考で止められるとは限らない。衝動的に携帯電話機を叩き割るような怒りが抑え込めないように。泥酔して友人と口論になって殴ってしまうように。自殺がそれら加害者達と異なる点は、破壊の衝動が内側に向かっているところだ。
 けれども心中となると自殺の範囲を超えてしまう。死の道連れという他者への連鎖があるからだ。

  枯葉が歩道に積もっている。週末に掃いていないのは明らかだ。つまり、元気なお年寄りがこの付近にいないか、元気なシルバー世代は自分の事で忙しいのだ。あるいは、熱心な信者がいないか、信じるための布教活動で多忙なのだろう。市の委託する清掃業者は、多くの公務員同様に、土日休みなのだから。

 この木の葉たちのように、いずれはバクテリアに分解されて、土に返りたい。火葬は遺されたものを安心させるための作業だと思う。

 どうして死ななければならないのか。それを、幸福ではないからだと決め付けてはいけない。破産したとか職を失くしたといった経済的貧窮は、理由にはしたくない。お金が無くても働けばいいのだし、病気や怪我でどうしても働けない人には、日本政府が最低限の生活を保証してくれる。病気の痛みが苦痛といわれれば同情してしまいそうになる。けれども病気を忘れるような瞬間はあるものだ。それをみつけるのが人生であり、人生で転んだことをネタに創作活動をするのも一興ではなかろうか。友達がいないと言われても、30秒で出来る友人は30秒で判れる友人だろう。学校の同級生じゃあるまいに、顔見知りから少しずつ仲良くなるのがふつうで、よほどウマが合わなければ出会ったその日に意気投合というのは珍しいパターンだと考えよう。孤独ならば、今ならインターネットで同好の仲間をみつけるのは簡単だ。掲示板で意見を交換したり、気が合えばイベントに誘えばいい。ライブチャットもあるが男女の仲ではほとんどが釣りだと身構えよう。急がば回れ、である。あぁ、ここまで書いてももまだ私の死については語っていない。他所様へ自殺を思い留めるよう説得しているうちに、自分の自殺願望が萎えてしまった。いや、私の願望などそんなものだ。なぜなら、私は経済的に困ってはいてもそこそこに健康だし、友人も少数ながらいるし、たまに逢うひともいる。クリスマスに一緒に過ごす相手が一応居るのだから、テレビや街でクリスマスソングを流されても気が狂わない。それでいいじゃないか。実在しない彼女だろうって?自分の子が欲しくないだめな人間には、二次元の可愛い恋人で充分なんです。そうでしょう?や、私じゃないですよ私じゃないですよ、ええ。 

by derikayuki | 2013-11-19 09:51
閉じられた収納箱に喩えられる団塊の世代ジュニアが醸し出す日常と非日常を稀に公開して後悔して消すという実験?!

by 鞍馬天狗(旧名は消しました)