2013年 11月 19日
広島発千夜一夜
小説
カジワラは強い男が好きだ。単純にパワーの持ち主という意味で、彼は重量挙げの選手に惚れてしまう。カジウラはゲイなので、相手は
広島発千夜一夜
第八話
strong
カジワラは強い男が好きだ。単純にパワーの持ち主という意味で、彼は重量挙げの選手に惚れてしまう。カジウラはゲイなので、相手は
もちろん男性である。
強い男についてカジワラが語るのを私は聞いた。スポーツマンの中でも、瞬発力に長けた重量挙げの選手は、力持ちというだけでなくて、頭脳にも秀でているのだと彼は言った。
私は、それら選手の、鍛え上げられた筋肉を賞賛する。もしも目の前に現れたならば惚れてしまうと思う。そうは思うのだが、こちらから、彼らに歩み寄り、大会に応援に行こうとまでは思わないし、ファンレターを書いたり、あわよくばお手合わせ願いたいなどとは考えない。
筋肉男は、遠くから眺めるから美しいのだと思う。それは、ポルノスターやグラビアモデルに対する憧憬と同様のものだ。パッケージされた美しさが、殻を破ればがっかりするというのでは悲しいではないか。
ひとつのことに集中した成果がボディービルダーの筋肉美にもいえるだろう。
同じように、柔道や相撲で名を上げているひとにもいえる。私は、柔道選手や力士の肉体にそそられるほうだ。
技術的な美しさももちろんだし、一見ぶよっとした脂肪の下に隠された筋肉が、試合や取り組みで発揮されるのが綺麗だと思う。
美の基準はひとつではない。
美しさが多様であるならば、強さの基準も幾つもあってよいだろう。
異種格闘技戦が夢であるように、私は私の好む強い人を愛してやまない。
by derikayuki
| 2013-11-19 17:48