Blank13

 邦画を映画鑑賞してきた。題名が「blank13」
行方不明になっていた父親と、13年ぶりに再会した息子。
 癌で余命幾ばくもない父は、医師の見立て通り亡くなる。
そして葬儀で父の友人らが話す、彼のもうひとつの姿とは。

 コメディと聞いたけども、コメディとは最後に泣かせる話が相場だと思っている。
 やはり、この映画も僕にハンカチを使わせた。いい意味で泣いた。

 これは川本真琴の「桜」の歌の意味ではない。
一人ぼっちになる練習は、映画一本見て出来るもんではないだろう。

 葬式でのエピソード披露する場面、それぞれの話をロケして再現ビデオにしなかったのも、きっと監督らの意図があったのだ。
 もっと分数を伸ばして散漫になるよりも、シンプルな構成を選んだこの作りは好きだ。
 
 お金持ちと貧乏人では、揺りかごも違うし墓場も異なる。お金が無かったことで苦労した母親や自分を見て、就職して大企業に入った長男は賢い。
 絵に描いたような出来る子。
 しかし、この映画では、母親の新聞配達を手伝う姿や、大人になってプレゼンする様子ばかりで、長男の私生活が見えてこなかった。次男は彼女とバッティングセンターに行ったり、父を見舞っての帰りに彼女に妊娠を告げられたりしたのに。
 兄弟の年齢差もあるのだろうか。
 しかし、父を嫌いだと言ったものの、その父親の所在を見付けたのはこの長男であったというのは、どういうことだろうか。
 
 やはり、言葉や表情だけでは、家族の付き合いの重み、深さは伝えにくいのだ。
 現実にありそうな反応や演技ばかりで成り立っているだけに、この映画は鑑賞者を思考の箱に引きずりこむ。
 少なくとも僕には。

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by derikayuki | 2018-05-09 23:24 | 映画

 なんだそれは。安産祈願のお守りみたいな空気感に、どう反応したらいいかわからない。
 
 気持ち悪い気持ち悪いと言いつつも、グロテスクな表現はあまりないと思う。
 映画ではない。映像集だ。pv集。松永天馬というソロアーチストとしての作品集。
 最後に短編映画が一つ入っている。

 性別男であろう私(生殖器は生理で血を流さない)。
 生きていることに悶々としてしまう私にとって、表現者として生命を全うしているこの人は素晴らしい。
 
 感想を一言でいえば、「沖縄行ってオリオンビールのみたい」。
 それじゃ感想じゃないじゃん。
 ラブストーリーは苦手だ。でも、「カメラ×万年筆=夏」はなんとか一時停止することなく最後まで見ることができた。

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by derikayuki | 2018-04-17 01:54 | 映画

 思っていることをそのままSNSで発信するナナミ。それを受信して問い詰めた夫。今の気分を他人に全部読まれる行為は、ナナミにとって気持ちよく、また安心できるものなのだ。しかし、それは会ったことのない他人に向けてであり、気のおけぬネット上での友人たちに向けての発信なのだ。それが証拠に、夫に知られたアカウントを彼女は変更した。簡単に恋人が手に入ったと本音を言われたら、そりゃ夫も怒るわな。おたがいさまなのにね。
 昔「サトラレ」という邦画の設定では、主人公が己の心を周囲の他人に「読み取られる」。今回、この映画で主人公のナナミはSNSに心情を吐露し続ける。それはサトラレの主人公ともはや同じだ。彼女のつぶやきは、そのツイートを読んだ全国の人に知られていく。そう考えると、ナナミの心のプライバシーは無い。
 だからこの映画の序盤を見た私は、安易に自分の気分をつぶやくことの怖さを考えさせられた。監督もきっと、ツイッター時代への警鐘を鳴らしているのではなかろうか。
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by derikayuki | 2016-05-15 07:25 | 映画